囲炉裏などは本来、土を敷いてその上で木を燃やしていました。炭は煙をだしませんが、木は思いっきり煙を出します。 だから自在鉤や家の梁が煙で燻(いぶ)されて良い色になるのですね。 火鉢とて同じで、ゆえに下に土を敷いたり砂を敷いたりしていました。 ただ、銅板の炉の場合はさすがに砂を入れたりしていることはなかったようですが。 そんな貴重な灰。一窯5kgと言われる灰を作るのにワラを燃やしたりしていました。そうして少しずつ灰を溜めていったのです。 ちなみに一窯とは炭を焼くカマの事で、一般的な炭窯で焼かれる炭の量は200kg〜300kg。焼けるまでに数日〜2週間。それで取れる灰はわずか5kg〜20kg程度という少なさなのです。 楢灰などは楢炭の80%以上をやいている岩手の楢灰全てが手に入りますが、それでも2〜3トンしかありません。
灰には断熱材の役目があります。 深さ5cmもあれば灰の上でどんなに炭を燃やしても火鉢の下は熱くなりません。 稀に囲炉裏を作る際、灰の下に断熱材を敷く方がいらっしゃいますが、無くてもまったく問題有りません。 もちろん純粋な灰を使って入ればの話ですが。 火鉢も同様で、手あぶり火鉢などはもともと灰は深さ5〜7cm程度までしか入りません。その火鉢を畳のうえに直において何時間炭を燃やそうが、畳はほのかに暖かくなるだけです。 また炭の上に灰をかぶせて炭を見えなくしてしまえば、上に紙がのっても燃えることはありません。そのくらい強力な断熱効果を持つ灰ですが、灰の中には空気が通るので、しずかに最後まで炭は燃えて行きます。これが火鉢、囲炉裏での火種の作り方です。 江戸時代などは火を起こすのが大変でしたので寝る前に種火となる新しい炭を灰に入れ、上に燃えた炭をのせて灰をかぶせるのが習慣でした。 これを怠ると翌朝とんでもないことに。。。
火鉢用に焼かれたくぬぎ炭から取れた灰で、純度は100%。 その分値段も最も高い灰です。 これ以上ないほどサラサラとして綺麗な灰です。100メッシュという通常は使うことのない細かいふるいでふるっています。木材は福島で焼いた最高級のくぬぎの木が元になっています。 くぬぎ灰の最大の特徴はこのきめの細かさと、色合いです。 たとえば備長炭の灰は黒っぽく、また楢の灰は白に近い色になります。 くぬぎ灰はさすがに千の利休さんが申しましたとおり、色合いからして他と違う上品さを持っています。 囲炉裏に使うのはもったいないと思っていましたが、高級なお宿の囲炉裏ですとか、大変立派な囲炉裏を作られた方はこちらは100〜250kg お入れになります。 もちろん年数件という稀なことではありますが、火鉢などには迷わずお使いいただきたい素晴らしい出来映えです。
楢炭の産地 岩手県の炭窯から取れたこちらも純度100%のなら灰です。 楢灰(なら灰)は、岩手県のなら炭をやいている窯から取れた物です。くぬぎ灰ほどの細かさは無いですが、これでも50メッシュという細かなふるいをつかっていますので、手あぶり火鉢でもお使いいただけます。 他にも 1つの囲炉裏で250kgも使うような大きな囲炉裏のある老舗旅館さんから、個人の方でもご自宅の囲炉裏に200kg入れる方まで様々です。 楢の木もくぬぎと同じ広葉樹の木なので、灰の性質もとても似ています。色合いも白っぽいので通常使用する範囲においてはとても綺麗で安心できる灰です。 毎年、くぬぎ灰もなら灰も2トン前後は出荷しておりましたが、2006年後半あたりから火鉢、囲炉裏以外にお使いになる方が増えまして、一時品切れになってしまいました。毎冬、品切れの可能性があるのが唯一残念ですが、価格と品質のバランスが良いのがこの楢灰の最大の特徴です。
茶道家にとって灰は命。 水に通すあく取りという作業を行います。これにより灰に混ざっているミネラル分などを取り除きます。これを アク と呼んでいますが、セッケンを作るときはこのアクを使って他を捨てます。 焼き物では釉薬に純粋な灰の成分を使います。 お茶の場合はこのあく抜きをやって綺麗にした純粋な灰に、さらに煮出した緑茶やほうじ茶を振りかけて乾かし、茶道のオフシーズンの時期は壺にいれて寝かせる。と言う行為を繰り返します。これで20年以上たった灰は見事な色合いになります。 この灰こそが茶道家の命の次に大事な物と言われ、それ故、灰は「火事になったら真っ先に持ち出せ。」 と言われていたのでした。 なお、この灰を灰匙(はいさじ)というスプーンの様な物で山を作ったりして形を作りますが、江戸期の茶人の灰景色が今も保管されています。 もちろん 手あぶり火鉢のような風炉釜に入った状態です。
灰は山菜のあく取り、藍染めなどでも利用されます。 特にここ数年、山菜のあく抜きで使われることが大変多くなってきました。 もちろん高級料亭だけではありません。 普通に山に入って山菜を採っている方の消費の方が圧倒的に多いです。 これもこのくぬぎ灰の安全性と最も混ざりの無い灰故の使われ方です。
以前は灰を“ふるう”ふるいには、 100メッシュという最も細かいふるいを使用していました。その100メッシュのふるいが壊れてしまいました。工場では変わりに楢灰ようの50メッシュでふるった物を箱詰めしました。それを知らずに私が出荷してしまったのです。 受け取られたお客様は以前 くぬぎ灰をお買いになった方でしたので、すぐにその異変に気づかれ もちろん50メッシュも充分細かいふるいです。一般的には50メッシュのふるいにかけたものを、もっとも細かい灰と言われています。 しかも50メッシュのふるいを3重にしています。確かに100メッシュの機械は壊れてしまいましたが、それ以上に灰の製作に非常に時間がかかり、ふるいが追いつかなかったこともありました。 現在は50メッシュで灰をふるっています。その分価格も下がりました。 まれに、本当に極稀にですが100メッシュも出来上がってくることがあります。お値段は高くなりますが(15kgで21,000円)、もし相当にご希望でしたら一度ご連絡をください。 ただ本当にたまにしか出来上がってきませんので、あまり期待しないでください。 とはいえ、50メッシュですら充分細かいです。50メッシュは元々なら灰で使っていましたし、私の所有している火鉢にはなら灰を使っていますから、正直まったく問題はありません。ご安心ください。
2007年に書いた内容なので少々古いですが、、、 最近中国関係の報道が多くなっています。 同時に2007年の4月からなにやら食の基準が出来たようで、安全性に対するお問い合わせが一斉に来ました。 実はこれは竹炭パウダーという火鉢屋が密かに販売している炭についての話ですが。 いまやくぬぎ炭にも中国産が入ってきました。最近では中国産のおが炭のヒ素の問題も言われ始めてきています。 当然ですがくぬぎ灰のくぬぎの木、楢灰の楢の木、白樺の胚の白樺。 すべて間違いなく国産です。
■灰の比較
※2の50メッシュが最高級くぬぎ灰そのものになります。非常にキメが細かかく、砂の混じり無い綺麗な灰です。 ← クヌギ灰となら灰の色の違い
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