鉄瓶の選び方

鈴木盛久の鉄瓶と菊池政光の五徳(中)

■鉄瓶の選び方 価格帯を一つの判断基準に

 

鉄瓶にも色々あります。2,980円のものから、40万円のものまで。
何がいったいそんなに違うのでしょう。
そして、いったいどの鉄瓶を選べば良いのでしょう。

ここでは価格帯を一つの基準にしてその違いを見てみます。なお、あくまで私が今まで見て触って調べてわかったことです。当然例外もあるでしょう。 ゆえにこれは1つの目安としてお考え下さい。  あなたにあった、長く大事に使える鉄瓶が見つかるといいですね。

最終加筆 2009年9月2日

 

  1. 1万円未満の鉄瓶
    1. 国産と中国産があります。もともとはこの価格帯の“鉄瓶らしきもの”は中国産だけでしたが、日本でも1億円するらしい機械を使えば数十秒で4個?の鉄瓶が作れるそうです。ここまでの機械を持っているのはさすがに南部鉄器大手の岩鋳さんくらいしか無いと思います。
    2. このクラスの鉄瓶は手作り品ではありません。中国製も混ざる価格帯でもあります。
    3. ただし岩鋳さんの「5型新アラレ」などはれっきとした南部鉄器と言えます。 急須は5千円前後で購入出来ます。 鉄瓶と呼べるものがこの価格帯にあるとすると、岩鋳さんの「急須兼用鉄瓶」というものだけです。
    4. 鉄瓶と急須に違いを一言で言うなら、「内側の処理」です。内側にコーティングをして、さびないようにしてあるのが急須。 鉄のまま(さび止め剤はぬってありますが)のものが鉄瓶。 ただ従来の作り方の鉄瓶とは違います。
    5. 私も以前は1万円を越える鉄瓶=高い! というイメージがありました。しかし現在、1万円未満でまともな鉄瓶があるとは思えません。400年も続く伝統的な技術で作られた鉄瓶が、しかも2009年、人件費も高く、物価もあがりつつある昨今において、安い鉄瓶が本物の鉄瓶であるとは少々考えにくいと思います。
    6. 原材料の鉄がかなり値上がりしている昨今、果たして安い価格で本物の南部鉄瓶がつくれるでしょうか。数十年前ならいざ知らず、いまではこの価格(1万円未満)でまともな鉄瓶を製造し、流通へ流し、問屋さんにも利幅をもうけたうえで販売することは、不可能だと感じています。
    7. 中国のあるメーカーは中国で『南部鉄器』という商標登録をしたそうです。中国製ですが商品名が 『南部鉄器』 となるわけですね。でも私はこれを見たことがありませんので本当に存在するのかどうか不明です。当然ですが鉄に何も混ざっていない保証はありません。 塗料についてもその種類は不明です。
    8. 鉄瓶兼用急須 5型新アラレ

    9. この1万円未満で鉄瓶とよべるものには、岩鋳の『鉄瓶兼用急須 五型新アラレ』 があります。 ただ本来は急須として作られたものだと思うのです。中に茶漉しが入っていますし、本来鉄瓶に茶漉し(ちゃこし)はありません。 しかし、急須は中に防錆剤がぬってありますから直火にかけられません。この岩鋳の 鉄瓶兼用急須は直火にかけられるので、鉄瓶と呼ぶことが出来ます。内側には簡単なさび止めコーティングはしてありますが、鉄がお湯に触れるので、鉄分がでます。
    10. 1万円未満の鉄瓶は岩鋳さん以外ないと思います。
    11. 本来の鉄瓶の表面には漆が塗られ、中は備長炭で焼き付ける金気止めという手法が使われています。残念ながら1万円未満の鉄瓶にそこまでの手間を求めるのはムリです。 しかしながら、『鉄瓶兼用急須 五型新アラレ』 であれば金気止め同様の焼き付け処理はしてありますのでいわゆる鉄瓶として使用することは可能です。ただ本来の鉄瓶と同じく、備長炭での金気止めではありません。どちらかというと焼付け?
    12. これ以外に1万円未満の鉄瓶が存在するやもしれませんが、私は存じ上げません。
      仮にありましても本来の鉄瓶に同様の製造工程を経ているとは考えにくいです。
    13. 私とて当初は1万円を越える鉄瓶は 高い鉄瓶 との認識がございました。ただそれはあくまで「鉄瓶が何かを知らなかった当時の私」が持っていた鉄瓶に対する先入観と申しますか価値観に照らし合わせての評価にすぎません。その後鉄瓶がどういったものか知るに至り、鉄瓶の善し悪しの基準が価格ではなく『素材』と 『作り』 であることをしるに至りました。
    14. その観点からしますと、1万円未満の鉄瓶はあくまで鉄で出来たケトルな位置づけになるかと思います。
    15. 岩鋳の鉄瓶兼用急須は、鉄瓶にごくごく近い、鉄瓶のようなものかも?
    16. 一般に安い物ほど重いです。 良い物は鉄が薄いので軽いです。とは言え鉄瓶は鉄で出来ていますからステンレスケトルよりはずっと重いです。
      それでも一般的には4万円くらいから上のクラスになると段々と軽くなってきます。1万円未満の鉄瓶は残念ながら一番重い鉄瓶です。
    17. 1万円未満の鉄瓶の恐いところは、初めて鉄瓶に触れる方に、“本物の鉄瓶とはこういう物” と認識されてしまうことだと思います。中には中国製の南部鉄瓶を買い求め、すぐに錆びてダメになったので南部鉄器協会のようなところに苦情の電話をかけてしまう方がいらっしゃること。
    18. とはいえ、ある種の割り切りをもって使うには安くて良いでしょう。


  2. 1万円台の鉄瓶
    1. 鉄瓶というものを初めて意識された方には、1万円を超えるとものすごく高い気持ちがしてきます。しかし安心して使えるのはどうしても3万円近くなってからになります。 では1万円台の鉄瓶はどのような物なのでしょう。
      1. 湯あかは付かないか付きにくい。
      2. つまり内部の処理はコーティング。
      3. 表面の仕上げは塗装によるもの。
      4. 取っ手は普通の鉄の棒。持つと熱い。
      5. 細かな紋様の再現はできません。
      6. 重い。
    2. 鉄瓶を作るには鋳型と呼ばれるものに鉄を流し込みます。その型から鉄瓶が1個しかとれないものと、型1つから鉄瓶100個出来るものまであります。
      型から1つしか取れない鉄瓶は当然値段が高くなりますし、鉄も薄くなりますし、繊細な模様を細部まで実現することができます。また、鉄瓶の内部処理にも、明治期からの手法が取り入れられます。
    3. 一方1つの型から100個つくれるものは大量生産品ですから、鉄瓶の表面の“あられ”
      のシルエットなどがあまく、一目瞭然の差が出てきます。
    4. 鉄の材質もちがうかもしれませんし、厚みが断然違いますので重くなります。
    5. ただし、全てがインスタントというワケではなく、この価格帯から人の、職人さんの手が加わってきます。
    6. 鉄瓶の取っ手は本来手作りですが、このクラスでは機械で作り成形します。 手作りの取っ手はお湯が沸騰していても、素手で持つことが出来ます。 このあたりが鉄瓶の道具としての素晴らしさですが、恩恵を得られるのはもっと上のクラス(5〜6万円以上)になります。
    7. このクラスも、鉄瓶の中を見るといわゆる塗料がぬってあります。これでは湯あかはなかなかつかないか、付きません。
    8. また鉄分も出ません。中には金気止めをしてあるものもありますが、それぞれをよく見ないとわかりません。ただ、5〜6万円以上のものと同じ手間をかけてあることは無いと思います。
    9. また、ここまで正直に書いていいものか解りませんが、すぐに錆びるかもしれません。鉄瓶は100% 錆びますし、錆びてよいのですが、一度のミスで相当錆びさせてしまうこともあるかもしれません。
    10. 相当慎重に使いませんと、このクラスの鉄瓶は1度のミスで修復不可能なくらい錆びてしまいます。ただし、失敗さえしなければ良いのです。失敗の代表例。
      1. 湯あかが付いていないのにお湯をいれっぱなし。
      2. 鉄瓶の錆びは、お湯が冷めていくときに錆びます。 一度沸騰したお湯が完全に水になるまで放置していまった! などということが無いようにする。
    11. 1万円代の鉄瓶も、通常のケトルと比べると価格的には多少高いかもしれませんが、個人的には、であればホーローの素敵なケトルを使うか、土瓶を買ったほうが良いかなーと思ってしまう価格帯です。 とはいえ、1万円台の鉄瓶も大事に使えば使えます!
    12. とはいえ、今まで鉄瓶をずっと見てきた側からして言えば、1年、2年とお金を貯めてでも、このすぐ上のクラスをお買い求めいただきたいと思っています。
    13. 最後の『重い』ですが、高価な鉄瓶ほど手作業で丁寧に作られています。なので鉄でありながら薄くて軽くなります。安い鉄瓶ほど、鉄の塊のような様相を呈しています。
    14. 取っ手も無垢(鉄の棒)なので重いですが、5万円〜6万円クラスになりますと、取っ手も“くるみ”になります。 つまり鍛冶屋さんが、鉄板をまげて中を空洞にした取っ手です。なので相対的に鉄瓶の重さは軽くなります。
    15. 色々ご説明申し上げましたが、万が一すでに1万円代の鉄瓶を持ちの場合、割り切って使うには良いのではないでしょうか。 それこそ日本で作られたものであれば今後もお使いいただけます。隣に上のクラスの鉄瓶でもおかない限り、それとはわかりません。
      思い出がつまっているだけで世界でたった一つの鉄瓶になりますし、なにより楽しく使うのが一番です。

  3. 3万円〜5万円前後の鉄瓶
    1. 鉄瓶に3万円〜5万円というのは、かなり高価にお感じになることもあるでしょう。 しかし独断ではございますが経験上、ここからが本当の鉄瓶です。細かなことを申しますと、3万円代後半のものから5万円前後の鉄瓶を指しています。
    2. 本心から申しますと、3万円台で購入できる鉄瓶はかなり破格です。場合によっては5万円クラスの鉄瓶より好きになることもあります。なので、3万円〜5万円代においてはスタイルやお好みなどでお選びになって良いと思います。
    3. 大きな違いはやはり繊細な模様の違いと、一部、このクラスにも“くるみ”の取っ手をつかっているものもあります。他の製造工程じたいはまさに鉄瓶です。
    4. このクラスの鉄瓶になりますと、鉄瓶の内側に施される処理である「金気止め」もされていますし、表面はきちんと “黒漆” か、 “生漆” が塗られています。漆は無色ですので漆で色は付きません。 鉄瓶表面の着色につかう染料も400年前と同じ手法で作られたものを使っているのがほとんどだと思います。
    5. おおよそ型1つから4個程度の鉄瓶が出来上がります。(鈴木盛久の場合)
      これはこの価格帯では非常に少ない数しか作られないことを意味しています。 鉄瓶は、あの「アラレ模様」のつぶつぶ一つにこだわり、微妙な線を大事にします。設計通りの鉄瓶を作ろうと思うと、1つの型からは4個程度が限界です。つまり、型に1回鉄を流し込むたびに型の方も微妙にダメージを受けるわけです。 ダメージはそのままシルエットの甘さになって現れます。 1個目と100個目では明らかに違いますし、そもそもその違いを出さないために、最初から霰(あられ) のあの粒々を 小さくしたり、低くしたりしてデザインします。 だから1つの型から4個しか取らない鉄瓶は、それだけデザインを忠実に再現することにこだわっていると言えます。
    6. またこのクラスはかなりの部分に手が入ります。場合によっては蛇口の裏の部分の処理にも気を使います。水切りが悪くならないよう手で整えたりもします。(見えない中の部分が錆びやすくならないように)
    7. 取っ手の造形にも手が加えられ、本格的な物になります。細かな模様(もやし)や、穴があけてあったり(虫喰い)もします。唯一機械工程が入るとしたら、取っ手を作る時に取っ手となる鉄の棒を引き伸ばすときです。ただしそこへ繊細な加工を加えるためにまさに手作業が加わります。
      このあたりになると、本当に 一生ものの趣が出てきます。
    8. ただし取っ手が『くるみ』にはなりません。 『くるみ』とは 中空の弦(取っ手)の事です。この弦を鍛冶屋さんがトンカンうって一枚の薄い鉄の板を丸めて作ったのがこの『くるみ』と呼ばれる中空の取っ手です。 この取っ手のおかげでお湯がいくら沸騰していても、素手で弦を持つことが出来ます。ここが道具としての鉄瓶のすごいところなのです。5万円以下で取っ手が中空のものは、日の丸鉄瓶の 一番小さな0.4Lのもの。 これだけしかありませんでした。
    9. どうしても5万円未満で取っ手中空の本物の鉄瓶が欲しかったので職人さんにお願いして作って頂きました。ちなみにこの中空の取っ手。 これを作っている職人さんは一人しかいらっしゃいません。 これはどこの工房の鉄瓶であれ取っ手を中空に出来る鍛冶屋さんが他に居ないからです。
      釜定であれ、岩鋳であれ、鈴木主善堂であれ、鈴木盛久であれ、中空の『くるみ』の弦はこの鍛冶職人さんが作っています。この職人さんと、虎山(こざん)さんという、岩鋳でも有名な職人さんとにお願いしてやっと5万円未満の鉄瓶ができあがりました。 いずれにしても、それまでは5万円未満で購入出来る、『弦がくるみ』の鉄瓶がありませんでした。その位、本物の鉄瓶というものは手間がかかっており、必然的に安く手に入れることが難しい物なのです。
    10. 本物の鉄瓶の中は、金気止めという処理を行っています。この内側は何年か使うことで白くなってきます。これが湯あかです。この湯あかが付けば付くほど、お湯が円やかになって美味しくなります。それまでは錆びたりもしますが、鉄瓶は100%錆びます。 その錆は当然体に入ります。でも決してこれは体に悪くないのです。それもこれも、土から出てきた鉄をそのまま使うことで作られた鉄瓶の特徴です。だからこそ、素材も重要になってくるわけです。
    11. 鉄瓶の内部には酸化皮膜があります。 製作工程の最後で、炭火によって1000度で焼かれます。このときに出来る酸化皮膜が防錆皮膜として残り、錆を防止します。 それが使っているうちに取れてきますが、それと同時に湯あかが付くので、さびなくなってきます。
    12. 余談ですがこの酸化被膜。明治17年の盛岡の大火災で被害を受けた鉄器工場で、焼け跡から見つかった鉄瓶をとりあえず使ってみたらさびなかった。 ということからヒントを得て、以後実施されるようになりました。

  4. 6〜7万円を超えるもの
    1. ここまで来ると完全に手造りです。型1つからは1つしか鉄瓶が作られません。鉄瓶のふたのつまみの部分の造形も、型から取り出す時に、型が壊れる心配をせずにすみますから、かなり緻密なデザインも可能になります。つまり、通常は1つの型から複数個を取り出す必要があります。なので、出来上がったつまみを取り出すときに、型を壊さないで済む形状にせざる得ません。つまりこの価格帯の鉄瓶はデザインの自由道が広がりますので、繊細な模様が可能になります。
    2. 取っ手、つまり弦は、一枚の南部鉄の板を、鍛冶仕事でトンカントカン打って、手作業で丸めて作ります。これだけを専門に行っている職人さんが、たった一人おります。その方の作る取っ手は中が空洞でそれは見事なものです。これを"中空の弦”とも言います。 中が空洞ではない弦を"鋳物の弦"もしくは"無垢の弦" と呼びます。
    3. 中空の弦には穴があいていますが、これは虫喰いです。
    4. 鉄瓶のお湯がどんなに沸騰していても、そして長時間、炭火でシュンシュンいっていても、弦は熱くなりません。素手で持つことが出来ます。弦が空洞なだけでたいしたものだと思いますが、事実です。
    5. ただし蓋はしめてくださいね。蓋をあけたまま湯をわかせば、沸いたお湯の水蒸気でさしもの弦も熱くなります。
    6. いわゆる本物の鉄瓶の特徴というのはこのようなものです。価格は6万円を越えます。
    7. 職人さんの仕事を目の当たりにし、よく知っているものにとっては当然の結果ではありますが、一般的に高いと感じてしまう価格かもしれません。そこでなんとか5万円を切る価格で弦が中空の鉄瓶を作りたいと思いました。職人さんと長いこと話し、なんとか完成したのがこちらです。 棗線引(なつめせんびき)鉄瓶
    8. この棗線引鉄瓶はこの鉄瓶の選び方のページでおこなっている価格帯によるカテゴリー分けには合致しません。それはあえてこのカテゴリーを破ってみたかったのです。結果、5万円未満の、本物の鉄瓶ができあがりました。まだデザインが1つだけなので、せめてあともう1種類は増やしたいところです。 とはいえ、この棗線引鉄瓶は今まで破れなかった5万円の壁を破った本物の鉄瓶として2006年に登場したものです。
    9. この中空の弦は、火鉢屋の火箸(ひばし)をつくってくれている職人さんが作っています。未だに鍛冶仕事でトンカントンカン、毎日打っています。一枚の鉄の板を備長炭で熱しながら、熱い鉄をトンカンうって丸め、火箸を、鉄瓶の弦を、茶釜の輪を造っています。火箸は繊細な装飾が施されたもの、桑の木を削って作った柄の桑柄火箸などがございます。どれも柔らかい、素敵な作品です。 火箸のページ
  5. 10万円〜後半
    1. まず鉄が違うものが存在します。南部鉄器で最も有名な砂鉄(さてつ)を使っています。 砂鉄は通常の鉄よりもより硬く、ゆえにお湯が沸騰したときに、その砂鉄の材質ゆえ、『ちんちん ちんちん』 と音がするそうです。
    2. また、容量の大きな物、8リットル、10リットル(通常は1リットル前後)など、20万円〜40万円といったところでしょうか。 砂鉄もあれば南部鉄もあります。
    3. もう一つ大きな違いは、鉄瓶の表面です。 非常に繊細に、なおかつ精巧にできています。 これが本当に溶かした鉄を固めてつくったのか?と思うほど柔らかで繊細です。
    4. 霰のあのつぶつぶんどは、本当に1つ1つ 霰押し棒 という棒で丹念に押して作っていきます。 平均して1つの鉄瓶で 2000個。 あの粒々を1つ1つ手で作っていきます。 こうして出来た型も、1回つかえば壊れてしまいます。それだけ精巧なデザインだからです。
    5. 鉄瓶は本来、気の遠くなるような作業工程を経て作られます。20万円、30万円を超える鉄瓶があるのは当然と言えば当然ですが、その大変さを知らないと、なぜそんなに高いのか?と素直なギモンを持ってしまうのも確かなことです。
  6. 20万円〜40万円
    1. 砂鉄で作られた鉄瓶です。
    2. 砂鉄は金属ではありません。一種、ガラスのようなものです。
    3. 製造工程はおおむね鉄瓶と同じです。砂鉄の鉄瓶に対して、一般の鉄瓶は岩鉄の鉄瓶とよばれることもあります。
    4. 通常の岩鉄(がんてつ)で、このクラスのものはめったにありません。考えられるのは、非常に精巧なデザインであり、なおかつ3L、4Lクラスの特注品。
    5. 四角、六角形などの多角形や、鬼あられとよばれる、ものすごいあられを施したものなど、通常の道具としてよりも、工芸品として作られたものなどには通常の鉄瓶でこの価格帯も有り得ますが、かなり稀有です。
    6. このクラス以下の砂鉄の鉄瓶もまれにあるようですが、それがどの程度ものかは不明です。
    7. 砂鉄は基本的に錆びません。鉄は空気に触れているだけで酸化してゆきますが、砂鉄は鉄ではないため錆びないのです。ただし、変色はします。これを錆ということもありますが、その変色のスピードは鉄の錆の進行にくらべると非常にゆっくりしたものになります。数年から数十年レベルで変化してゆきます。

■ 初めてお使いになる方に覚えておいて欲しいことが2つございます。

  1. 鉄瓶の中は絶対に触らない。
  2. 使ったらきちんと水を切り、軽く空焚きをして水気を完全に取る。
  3. 湯垢が付くと中が白っぽくなる。
  4. それでも鉄瓶は必ず錆びます。100%錆びます。
  5. そして錆(さび)は飲んでもまったく人体に影響ありません。 錆びて鉄の粒が湯飲みに出てきても、飲んでもまったく害はありません。400年以上の歴史がそういっています。職人さんは我々一般人が、それを聞いて驚くのを見て、逆に驚いているくらいです。ご安心下さい。

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