手あぶり火鉢

手あぶり火鉢 お知らせ

  • 7月3日

新たらしいもの桐の火鉢

新品の桐の火鉢です。

手あぶり火鉢第百五十八弾準備中

 

お知らせ-「お疲れ様でした。ぎんやさん」

subject火鉢の仕入れは、師匠としている3人の大先輩から譲ってもらっています。

そのうちの一人は荻窪の駅前に4~50年ほど前からあった「ぎんや」です。

 

 この荻窪駅前の「ぎんや」さんは茶道具専門の骨董屋さんでした。 今では珍しいほど目利きのきく師匠でした。 この師匠から教えていただいたことは数知れません。 銀瓶(鉄瓶の銀バージョン) を5つは目にすることが出来たほど、貴重なものも数多くお持ちでした。購入するわけでもないのに、本当に事細かに教えてくださいました。 私はいつもお店へいくと美術館へ来ている気分になりました。 そんな素敵でワクワクした「ぎんやさん」ですが、2008年の末、その長い歴史に幕を閉じました。 引退です。 

 

正直、一昔前の骨董の世界は新参者の入れない空気が漂っていました。下手に何かを聞こうものなら、怪しがられたり、足元を見られたり。

 

でも「ぎんやさん」は最初からとても優しく教えてくださいました。 いつも元気に 「三浦くん!」と呼んで下さいました。 そして良い品物が無いときはムリしてまで仕入れたりもしていませんでした。(だからお店がさびしいときもありましたが。。。)

 

たぶん、このあたりの影響もあったかもしれません。私はこの「ぎんやさん」のおかげで、“火鉢なら何でも良い”のではなく、『良い火鉢しか仕入れない』という考えにいたったような気がします。 つまり、火鉢屋の火鉢がどれも必ず程度が良く素敵なのは、「ぎんや」さんのおかげかもしれません。

 

(そのかわり手あぶり火鉢のページは結構も品切れ状態多いですが!)

 

 

「ぎんやさん」がネットを見ることはありませんが、ここに敬意を表してお礼を申させていただきます。とにかく長い間ご苦労様でした。

 

 

■ 手あぶり火鉢の説明

手あぶり火鉢に共通した説明です。 今まで書いてきたことを簡単にまとめました。

■ 火鉢屋の火鉢メンテナンス方法

火鉢屋の火鉢メンテナンスには化学塗料などは一切使っておりません。

 

また、コンパウンドの入ったもので磨いたりもしていません。 “自然なままの仕上がり”で、出来るだけ綺麗にしてあげる ためです。

木の表面には漆が塗られていることが殆どですが、これが保存状態によっては剥げていることがあります。そう言ったときは、天然の蜜鑞ワックスを塗ります。蜜鑞はヨーロッパのアンティーク家具で使われているもの使用しています。

理由は、やはり古い木のメンテナンスではヨーロッパの方が一日の長があるからです。このアンティーク用の蜜蝋は自然なままの状態を再現しつつ、細かな傷を隠す役目を持っています。

また、場合によっては柿渋を塗ることもあります。柿渋は柿の木から採取する樹液ですが、当時も今も天然の防腐剤であり、また茶色い色を出す役目を持っています。

 

■ 火鉢修理の基本概念と維持保管の注意

つねに基本はオリジナルの再現です。 自然なやり方で当時の職人さんの作品をよみがえらせます。 塗られた漆が少しでも残っていれば、それを最大限に引き出し、輝きを与えます。 既にご使用の火鉢で、特に傷みのないものについては特に処置を施す必要はありません。

一般に言われることですが火鉢の天然木に一番良いのは人の油です。なので、いっぱい触ってあげてください。程度の良い物は何もする必要はありせんが、直射日光を避け、気がついたら触ってあげてください。

 

手あぶり火鉢の特徴

手あぶり火鉢は必ず対(2台1組)で作られていました。それは火鉢を一人一台と考えていたからです。 

たとえばお客人と話すとき、一台は自分の側で、もう一台が客人側ということになります。 
昔は大きなお屋敷などですと全部で50個、25組の手あぶり火鉢を置けたと師匠が言っておりました。

(実際、タバコ盆が25個でてきたおうちも荻窪のあったくらいです)

また村の寄り合いなどで大勢が集まるときや、大きな商談ではこのような光景が頻繁に見られたようです。 以前は大きなお屋敷の蔵出しですと手あぶり火鉢が30個、50個と出てきたものですが、ここ8年はまったく出てきませんでした。

 

蔵をあけて眠っていた品物を表にだす「蔵出し」がもう無いからとの事です。つまり、あいていない蔵というものが、既に残っていないというわけです。 さすがに「これからはもう出てこないだろう。」 と師匠が申しておりましたので、恐らくないのでしょう。

 

さて、手あぶり火鉢5つの特徴ですが、いままで火鉢屋では何度も火鉢の説明に記載してきました。

 最近また新しいお客様が増えてらっしゃいますので、もう一度簡単にご説明します。

 

1. 欅(けやき): 火鉢といえばケヤキ。 もちろん紫檀(したん)、杉、桐、かりん 木の種類はさまざまですがやはり火鉢といえば欅。というくらい 欅の木が多く使われています。 特に明治頃につくられたものは江戸期ころに伐採された樹齢300~400年以上のものなので、それは見事です。 

 

2. 黒柿: くろかき(黒柿)も 欅と同じくらい火鉢ではポピュラーです。 欅も堅いことで有名な木ですが、この黒柿もとても堅く熱に強い木です。 この黒柿から採取する柿渋という液体は江戸の昔から木材への添付で知られています。現在は京都に1件のみ今も本当に柿木から柿渋を採取している会社があります。柿渋には虫除けの役目など木の保護の役目もありますが、最近はシックハウス対策に使われたり、健康のためにとどうやら飲む方までいるようです。  火鉢では淵に使われることが多いです。 色が黒いので火鉢がしまって見えます。 なお黒柿は普通の柿の木から採取しますが、1000本に1本程度しか 黒柿は存在しません。しかも一度木を切ってみないとわかりません。 この柿の木に偶然出来る墨が柿渋にもなり、また黒柿といいって貴重な木にもなります。

 

3. 臍組み: これは木の組み合わせ方です。 ほぞ組みはシンプルなものから、斜めになっているものまでさまざまです。このほぞ組み用のノミを作るところから指物師の技が始まります。 今でもほぞ組みという組み方は木工の世界では一般的ですが、当時は今のようなシンプルな組み方はありませんでした。どれも手が込んでいます。また4 面ある火鉢の木は、1枚、1枚はめていくのではなく、「いっせいのせ」 ではめないとはまらないそうです。 これを指物師の経験と勘だけでおこなっていたのですから、本当に当時の職人さんはすごかったのだと思います。 このほぞ組みのある火鉢はそれだけで時代が新しくても昭和の戦前ということになります。通常明治期~大正期の火鉢jに見られます。

 

4. 炉ぶち: これは火鉢についている枠のことです。 炉淵とよぶのはお茶道具的かもしれません。 他に「木枠 (こわく)」ともよばれます。 これがあると無いとでは、ずいぶんと火鉢の見栄えが違ってきます。茶室の炉は千利休が庶民の囲炉裏をベースに考え出しました。 そのときに、品良く見えるので淵をつけたのではないでしょうか。 それを今度は火鉢でも加えてみたのではないかと思います。 この炉ぶちのあるものはお茶の練習用にも使われることが多く、残っていれば程度のよいものが多いです。 昭和も戦後になると木材の希少性から火鉢の板も薄く、炉ぶちをつけないなど簡略化が図られました。

 

5. 引き出し 他: 引き出しがついている手あぶり火鉢は珍しいです。 長火鉢の場合、引き出しは感想する場所ですので、海苔や、お茶、タバコなどをしまっていました。 この手あぶり火鉢の引き出しは、どちらかというと道具入れによいかもしれません。  火ばし、灰ならしをしまっておくにはぴったりです。 ただ少々大きめなのでそれだけではもったいないかもしれません。  引き出しの中には半紙など(新聞紙も可)を敷いて、江戸の茶器や、そばちょこを入れると なかなかおしゃれだと思います。