鉄瓶の中のサビ

鉄瓶の内側が錆びてきた

鉄瓶の内側は必ず錆びてしまいます。 でも平気です、安心してください。

鉄瓶を使っていれば必ずサビは出ますが心配しなくて大丈夫です。

ただ赤水が出るほど錆びさせてしまうことがあります。

この場合は対処が必要です。

 

鉄瓶の中に湯垢(ゆあか)が付いてしまえば錆びの心配は激減するのですが、
鉄瓶の中がまだ落ち着かないうちに“お湯を入れっぱなしにしてしまったとき” に
酷く鉄瓶の中を錆びさせてしまうことがあります。

(お湯が水になっていく過程が最も鉄瓶を錆びさせます。)

その後、何度お湯を沸かしても赤水が止まらないことがあります。

そんなときの対処法、また鉄瓶の内側の錆びについて説明します。

 

>> 鉄瓶の錆びは自然な出来事

鉄瓶は普通に使用しても、しかも大事な鉄瓶を丁寧に扱っても鉄瓶の中はそのうち錆びてきます。 これはごくごく自然なことです。

鉄その物が酸化しやすいので仕方の無いことです。 当然鉄瓶の外側も錆びてきますが、内側ほどではありませんし、対処方法が簡単なのであまり問題になりません。

重要なのは鉄瓶の中です。

その鉄瓶も長い年月使用していると、鉄瓶の内側には“湯垢(ゆあか)”がついてきます。そうなってくると水を一晩入れっぱなしにしたくらいでは錆びなくなります。
(もちろん、ちゃんと水を抜いて乾かして保管すべきですが)

 

ただしそこまで鉄瓶が育つには毎日鉄瓶を4〜5時間以上使用して1年くらいかかるかもしれません。そうなると鉄瓶の中が見事に白くなってきます。 これが湯垢です。

つまり、鉄瓶に湯垢が付いてかなり錆びにくくなるまでは、鉄瓶の中に錆びが発生してもおかしく無いということです。

>> 飲んでも平気な鉄瓶の錆び

鉄瓶の錆びは飲んでも心配ありません。

もちろんムリして飲んでくださいと言っているわけではありません。

万が一飲んでしまっても不安がる必要はありません。 ということです。

赤水が出たとしても、意外とそれに気づかずのみ続けてしまうこともあります。


私も過去に、まだ新しい鉄瓶に、たった一度お湯を入れっぱなしにしてしまったことがありました。 現在は販売していないお安い鉄瓶だったのですが、金気止めが甘く(恐らく機械処理?) 鉄瓶の中が真っ赤になるほど錆びさせてしまいました。

その後、「鉄瓶の錆を止める対処法」を施しました。

その後、何度かお茶を入れてのんでいましたが、白い湯飲みにお湯を出してみたところ、本当に真っ赤なお湯が出てきました。

かなり驚き、再度 自分で出来る 「鉄瓶の錆を止める対処法」を行いましたがとうとう鉄瓶の中の錆びは止まりませんでした。 ただこの時に何度も赤水を飲んでいるわけですが、特に何も問題はありませんでした。

場合によってはお腹がゆるくなることもあるようです。

 

また、あるとき鉄瓶をつくる職人さんに聞いた話があります。

 

「最近の人は、湯飲みの中に鉄瓶の粉が入っているとお湯を捨ててしまう。」

 

そうです。そのくらい鉄とは人間との親和性の良いものらしいのです。

職人さんには鉄瓶から出てくる錆び、小さな鉄の粉を気にする現代人がとても奇異に映ったようです。もちろん同様の状況でお湯を捨てることになんら問題はありません。

 

そうではなく、鉄で作られたものに対する信頼、もしくは安心感というものを感じた言葉でした。そのくらい安全な鉄ですが、やはりさび止めは必要です。では次に、その鉄瓶の製作工程で行われる防錆対策について見てみます。この防錆対策によって、鉄瓶の中は錆びにくくなっているのです。

 

>>  鉄瓶の中の処理 「金気止め」

鉄瓶の内側が簡単には錆びないように、鉄瓶製作の最終工程、つまり仕上げの段階で“金気止め”という防錆対策をします。この「金気止め」もしくは「釜焼き」と呼ばれる処理を施して鉄瓶の中が錆びないようにします。

この金気止めは、炭火で鉄瓶を800度〜1000度の温度で真っ赤になるまで焼く工程を言います。 これにより鉄瓶の中の表面に“酸化皮膜”が作られます。

この酸化皮膜のおかげで、鉄瓶が最初から錆びることを防いでくれています。

もちろんまったく錆びないわけではありません。いずれこの酸化皮膜も取れてきます。酸化皮膜が取れる頃には鉄瓶の中も落ち着いてきて、少しずつ湯垢(ユアカ)ができてくると言うわけです。

つまり金気止めには、湯垢が出来るまでの間、鉄瓶の中が簡単には錆びないようにする役目があるというわけです。

金気止めがされている鉄瓶の中は白っぽくなっています。

廉価版の鉄瓶は防錆剤を塗ってあるようですが詳しくはわかりません。

 

>> 鉄瓶の金気止めはいつから始まった?

ちょっと余談ですがおもしろいので紹介です。

この金気止めは南部鉄瓶や茶の湯の釜にだけ見られる独特の防錆法です。

金気止めじたいは、明治17年(1884年)に起こった盛岡の大火災がきっかけで始まった防錆法です。この大火災は当時の盛岡を火の海にしました。 当然南部鉄器工房のいくつかも被害を受けました。

その後、焼け後から取り出した鉄瓶をとりあえず使ってみると、錆が出ませんでした。

これがきっかけとなり、鉄瓶の製作工程に炭火で鉄瓶を焼く金気止めが加わるようになりました。

>> 鉄瓶の中は絶対に触りません。

絶対に鉄瓶の中を触ってはダメです!

 

鉄瓶の中は普通に使っていても錆びてきます。その錆を見ると、ついつい指で触りたくなるものです。 でも絶対に!何があろうと絶対に鉄瓶の中を触ってはいけません。 

実は急須の中も触ってはいけないのです。

中国のことわざに 『急須の中を洗う奴』 というのがあるそうです。

これは『余計なことするやつ』 という意味だそうです。

急須の場合は中にお茶の香りが付くからなど色々ありますので、鉄瓶とは意味が違います。鉄瓶の場合は『錆を助長させる』ため、余計な施しは無用です。

 

鉄瓶の歴史など


火鉢屋(ひばちや)

 

最近かなり多くの方、もしくはお店が、弊店の文章をコピーして自社のホームページに掲載されてらっしゃいます。

著作権を申したところでこのネット時代、コピーは可能です。

語尾だけ変更して全文そのままもあり ますが、一字一句たがわず丸々コピーもあります。それで検索されたときに目立つようにしまして、そのコピペページから自社サイトへ誘導というような感じで皆さん利用されています。

一応著作権は全て火鉢屋にありとしますが、火鉢屋はあまりうるさく言いません。 ただ逆に私どもがコピーしたように見えては問題です。 なので一筆書かせていただきました。 


鉄瓶についてメールでお問い合せ